- 澤
- 最近、衝撃を受けたのが三島由紀夫の「金閣寺」。初めて読んだんですけど、あれはほんとに、文字が覚醒してるんですよ(笑)。比喩表現が覚醒してて、三島由紀夫がここで覚醒して文字を書いてるなというのが、もうビシビシ伝わってくるんですね。この風景をこんな言い回しするんや!って、たぶんすごいひねくれてる人なんやと思うんですけど。
- トミナガ
- その比喩は読んでて納得できるの?すごい絵が浮かぶとか。
- 澤
- めちゃめちゃ納得できるし、絵が浮かぶのが、そこがすごいなと思うんですよ。
- 大知
- へえ。
- 澤
- なんか次々に出てくる比喩表現の波に流されながら、最後の結末まで読んでいくみたいな、そういう感覚の小説を読んだことがなかなかなくて。最初はやっぱり、難しい言葉やったり知らん言葉が多いんですよ、あの時代なんで。
- トミナガ
- 入り込むまで時間がかかるよね。
- 澤
- そうです。だけど途中くらいになってきたら、ずっとこうやって釘付けで読んでて。あれはね、たとえば歌詞を書くときにしても、その感覚は参考になるところがあって……。「金閣寺」って、なんかおしゃれなんですよね。おしゃれなんですけど、嫌味ったらしくないんですよ。で、すごい土着的なんです。三島由紀夫ってコンプレックスがたぶん自分のなかにすごくあるんですよね。そういうモノって、音楽をやってる人ってやっぱりどこかに絶対持っている人が多いと思うし。けっこう長いんでわりと最初は躊躇(ちゅうちょ)するんですけど、あれはね、特に歌詞を書いたりする人は読むべきだと思います。
※澤 竜次、ひきつづき三島の覚醒した表現について熱く語る……。 - 大知
- 俺、「金閣寺」は舞台で2回くらい観て話を知ってしまったから、なんか読む気が……。でも、けっこうト書きとかもそういう感じのしゃべりでしたね。
- 澤
- なんか息が詰まるような……。