- トミナガ
- 実際スタジオに入って、なにをしてたの?
- タカハシ
- まったくなにも決まっていないセッションでしたね。リフとかもなにも持っていかなかったです。曲があってやり出したということは一切なくて、そもそもまずそういうのがやりたくない。ソロと両方やればいいなと思っていて、「タカハシヒョウリと人類」っていうのがフォークソングにただバンドがついてるっていうソロのバンドだったんで、そうじゃなくて、自分の好きなドアーズとかレッドツェッペリンみたいな、たぶん有機的に生まれてきたんだろうなと思う音楽が好きで、そういうことがやりたかったんです。たとえばすごいいい曲があったとして、それを持っていってスタジオで合わせてめっちゃいいのは当然じゃないですか。そうじゃなくて、なにもないのに瞬発力でなにかスゴイのができる、そういうことがないと、俺の思うロックバンドにはならないと思うんですよね。
- トミナガ
- カメダタクはヒョウリの知り合いのバンドの後輩として、紹介されたんだよね。
- タカハシ
- そうですね。
- トミナガ
- タクちゃんは最初スタジオに入って、けっこう途方に暮れませんでしたか。北海道時代はなにが好きだったんだっけ?
- カメダタク
(Key) - あ、Skoop On Somebody?(笑) スタジオ入って、このベース(ツダくん)キライだなと思ったんですよ(笑)。全然合わせてこないし。まず、コードがないっていうのがイヤで、最初はもうイヤだなと思ってました。
- トミナガ
- まっとうなポップミュージックが好きな人だったわけだもんね。なにをしてその時間をやり過ごしてたの?セッション中は。
- カメダ
- (それまでやってた)大学生のコピーバンドで「ノイズ出して!」とか「歪んだオルガンを弾いて!」って言われることがなかったんで、なるべくタカハシくんが好きな音楽をちゃんと聴いて、「こういう音かな?」みたいに考えてました。
- トミナガ
- その時期に主にだれに影響を受けた?
- カメダ
- ジミー・スミスと、レイ・マンザレク(The Doors)と、チック・コリアとかビル・エヴァンスのエレクトリック・ピアノを聴いてましたね。いちばん初めはジミー・スミスに影響を受けました、オルガン奏者として。
- タカハシ
- ジミー・スミスは、俺すごく好きなんで。あと、メデスキ、マーティン・アンド・ウッドっていうジャムバンドとか、ああいう感じのものに日本語のメロディーが乗ってるっていうのがもともとやりたかったんですよね。
- トミナガ
- 歌モノにするつもりではあったの?
- タカハシ
- 絶対、歌とメロディーは大事だと思ってました。ロックバンドといっても、ひたすらタテノリっていうんじゃなくて、ムーディーな感じがあって、横ノリの要素があったり、クールな要素があるんだけど、最終的にもりあがっている感じのものが好きだったんで、そういう音楽をやりたいとは(メンバーに)言ったと思う。
- トミナガ
- スタジオに入ってセッションするなかで1回1回手応えはありましたか。カッコいいリフができたとか。
- タカハシ
- どうだったかなあ。
- カメダ
- 毎回毎回おもしろくなっていきました。曲はできなくても、爆発してるカンジはあったんで。セッションでこれだけ無我夢中になれる感じっていうのはおもしろいなって。