- トミナガ
- その当時のセッションで、その後、音源になったものはある?
- カメダ
- カワノくんと1月に入ったときに、「MANGA」の原型みたいなのができたような気がするんだよな。
- トミナガ
- 1月に全員が揃って、4月に初ライヴでしょ。よくその期間で30分ステージができるくらいの曲を準備したね。
- カワノ
- 曲、死ぬほどなかったですよ。
- トミナガ
- 曲が長い?
- タカハシ
- 9分、10分あった曲もあるし。
- カワノ
- 「十代」、「砂場」、「普遍」……あとなにがあったっけ?
- タカハシ
- 昔のヤツ(旧オワリカラ時代の曲)を1曲ひっぱり出してた。
- カワノ
- 「哲学ビーム」をムリヤリやってた。
- トミナガ
- 「哲学ビーム」?めっちゃ聴きてえ(笑)。
- タカハシ
- ほんと4,5曲くらいで、とりあえずライヴはやってましたね。
- トミナガ
- みんなの認識のなかでは、最初にできた曲はなんなの?
- タカハシ
- 「十代」と「砂場」ですね。どっちが先か、ほとんど同じくらいだと思う。この2曲ができたときは、すごく手応えがあった。
- トミナガ注
- オワリカラのホームページのDiscographyからは削除されていますが、彼らは2008年に2枚のDEMO CDを発表しています。そして、2009年の3rd DEMOにもこの2曲は収録されましたが、こちらも1,000枚完売。今、入手できるのは以下のとおりです。
☆「十代から始める革命講座」……compilation 「TOKYO NEW WAVE 2010」
☆「砂場」……オワリカラ1stアルバム 「ドアたち」 - カワノ
- 「砂場」は完全にタカハシくんの原曲があったんで。
- タカハシ
- 「砂場」は曲というほどでもないですが、シンプルな原型があって、それをスタジオに持っていって(アレンジして)。「十代」と「砂場」はすごい手応えありましたね。「十代」はベースラインがカッコよくて、セッションで作ったちょっと横ノリのビートに、ダビーな感じがあって、それに歌謡曲ぽいメロディーが乗ってるっていうことですごく好きだったし、「砂場」のほうは、たんたんとしてる感じとベースラインが変わってる感じが、あまりほかにないと思った。
- トミナガ
- 後半がカオスになっていくのは?
- タカハシ
- ライヴの最後にやる曲だったんで、あまりシュッとして終わるよりも……昔は今よりだいぶ破壊的だったんで、とにかくモノを壊すゾーンみたいなものがないとイヤで(笑)。だから「砂場」はゆるい曲なんだけど、最後めっちゃモノとか壊すっていうのがおもしろいなと思って、最後にやってましたね。この2曲があったことで、オワリカラとしてライヴをやることがおもしろくなっていったと思います。
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ここでちょっと長くなりますが、自分の話を書きます。2009年5月4日、この日トミナガは渋谷O-EASTでの堂島孝平/カジヒデキ/NONA REEVESのライヴが終わり、道玄坂を下って帰途についていました。知り合いのディレクターから電話。「トミナガさん、今どこにいますか」。「渋谷だよ」。「ちょうどよかった!今、トミナガさんに会いたいっていう若手と渋谷にいるんですよ」。「……?」。指定された店に着いて「やられた!」と思いました。席には都内ライヴハウスの若手ブッキンガーや音響・照明のスタッフさんたち。ようするに財布役でしょ。それだったら、こっちも見返りがほしい。そこにいる全部の若手に、今自分が気になっている若手バンドをひとりずつ教えてよ!とメモを始めます。青山・月見ル君想フでPAをやってた原田くん。「僕は圧倒的にオワリカラです」。あれ?オワリカラって名前、覚えがあるな。あ!来週、黒猫チェルシーが対バンするバンドだ。なるほど……。
5月9日、下北沢BASEMENT BAR。トップバッターとして登場したオワリカラに、僕は釘付けになりました。ユニゾンをDaisy Barで最初に観たときもそうでしたが、いつのまにか最前列にいました。冒頭に書いた、メンバーひとりひとりの佇まいも文句のつけようがない。その日に発売されたばかりのオワリカラ3rdデモを購入し、翌週5月16日に秋葉原CLUB GOODMANで開催された彼らのレコ発企画で、200人以上のお客さんがオワリカラの変則ビートでダンスするのを見て、こんなシーンがあるんだと目からウロコが落ちました。でも、こういったマニアックにも聴こえかねないオルタナティヴな音楽に対して、果たしてSMAは関わるべきなのか。逡巡しながら、彼らに声をかけることもなく何度もライヴを観に行きました。確信したのは、タカハシヒョウリの歌の強さ。歌がいい音楽なら、間違いない。ヒョウリと初めて高田馬場で会いました。サブカルチャー全般に造詣が深く、頭の回転が速い若者。そして、僕と同じ高校、同じ大学、しかも同じ音楽サークルの出身(早稲田大学Modern Music Troop[M.M.T.])。身内意識と圧倒的な才能の発露を両輪に感じながら、オワリカラとのつきあいが始まりました。みんなは5月9日のこと、覚えてる? - トミナガ
- オワリカラが3rdデモを発売した日が、下北沢ベースメントバー。そこで僕はみなさんを初めて観ました。
- カメダ
- 対バンが、黒猫(チェルシー)とLOVESとワッツーシ(ゾンビ)。
- トミナガ
- そのあとみんなはダブルヘッダーで吉祥寺に行ったんだよね。
- カワノ
- WARPですね。
- タカハシ
- the morningsの企画か。
- カメダ
- キーボード、オレ使えなくなったんだ。
- タカハシ
- キーボードぶっ壊れて、WARPでは2曲しかやらなかった。
- カメダ
- ベースメント(バー)で壊して……。
- ツダ
- ベースメントの前に壊れてたんちゃう?ヒロくんが投げたあとやったから(笑)。
- カメダ
- ヒロくんがキーボード投げた事件があって……(直前の5月7日、渋谷・屋根裏。ヒロくんは当時andymoriやオワリカラがいたシーンの愛すべき音楽ファンでした)。
- トミナガ
- タクちゃんのキーボードを?
- ツダ
- それで(ベースメントで調子悪くて)、やっぱあかんてなって、向こう行ったらちがうの借りよって言って。
- カメダ
- WARPのスタジオのキーボード借りて、でも全然使い方わからなくて、それも壊しそうになった(爆笑)。
- トミナガ
- (笑)こわいわ~。
- タカハシ
- (曲を)いっぱいやってもしょうがないからって言って、2曲だけやって、ひたすら暴れるみたいな感じだった。
- トミナガ
- へえ。